カテゴリー: Leadership
シンガポール人事セミナー
今週は、株式会社パソナ主催
「シンガポール人事セミナー」(大阪)で講演をさせていただきました。
東南アジア展開を強化している企業様向けに
現地でのマネジメント、人材育成において着目すべき論点について
お話しました。
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シンガポールにおいて日系企業が直面する課題
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日系企業はどう思われているか(ローカル視点の理解)
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ダイバーシティの多面的理解
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ハイポテンシャル・タレントの教育的背景と職業観
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シンガポールでのマネジメントの留意点
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パフォーマンスマネジメント(評価)の考え方
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育成・研修を検討する際のポイント
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本社がすべきこと、海外拠点がすべきこと
このようなテーマで出張講演、勉強会、研修を数多くご提供しています。
かなり生々しい実例を含めながら、応用ができるフレームワークを
ご提供します。
ご関心のある方はお気軽にお問い合わせください。
海外赴任者研修
先週はシンガポール出張でした。
某金融機関のシンガポール支店で駐在員向けのマネジメント研修を
3年前から実施しており、その継続版です。
受講者の皆さんは赴任してから1-2年が経過しており、
その経験からの意見も踏まえた活発な研修となりました。
トピックはこんな感じです。
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海外市場における日系企業の課題
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ダイバーシティの本質的理解
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ローカル視点の重要性
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文化の違いを捉えるフレームワーク
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コミュニケーション方法の違い
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海外で鍛えるべき3つの力
海外赴任前にも研修を行っている企業は多いようですが、
多くは、生活習慣や労務環境の違いなどの解説に留まっているようです。
市場特性の違い、海外における経営課題、ダイバーシティの本質的理解
については赴任前から学んでおき、その後の実務の間に継続的なコーチング
ができればベストなのですが・・・
HBR(Harvard Business Review)の記事によると、
International Assignment(海外赴任者)の30%は、当初の目的を達成できず、
10-20%は想定より早く帰任となってしまうとの調査結果が出ています。
大きな理由として、こんなことが言われています。
“Managers often send people on overseas assignments
who are capable but culturally illiterate.”
「能力は高いが、異なる文化への適合性の問題で失敗する人が多い」
ビジネスにおける異文化理解に関して、
古くはHofstede、最近ではEryn Meyerなど、いくつかの体系的理論があり
研修ではこれらのフレームワークも参考にしながら、議論をしていきます。
これらの理解は、海外赴任前に本国にいる間にも実施しておくことが望まれます。
1日でも立ち止まって基礎のインプットと議論をしておくことが、その後のパフォーマンスの
立ち上がりに好影響を与えるはずです。
エンジニアに必要なビジネススキル
米国の大手製造業(フォーチュン500)の技術者向けに
トータルカスタマーフォーカス(TCF)プログラムのファシリテーターを
してきました。
かつてのIBMに代表されるように、製造業の提供価値が製品からサービスに
シフトして久しいです。(モノ売りからコト売りへ)
特にB2Bの巨大装置産業やITプロバイダーは、長期の保守契約、
MRO(Maintenance, Repair and Operation)が利益の源泉に
なっています。
現場を担うサービスエンジニアは当然技術力に長けており、製品知識も
豊富です。しかし、ソフトスキル全般(コミュニケーション、トラブル解決、
ネゴシエーション)関してはあまりトレーニングされていないケースが多いのです。
この分野にフォーカスをあて、僕が非常勤で従事している米国のコンサルティング
会社GPI http://www.globalpartnersinc.com によって開発されたのが
TCFプログラムです。
1回きりの研修ではなく、4-5か月間にわたり、Web会議システムも
使いながら複合的なメソッドで進行していきます。
習得したスキルを定着させる「Embedding Approach」が特徴であり、
最終的には受講者にビジネスケースを書いてもらい、効果を定量化していくことに
よりROI(研修プログラムの投資対効果)を明らかにしていくのが特徴です。
米国、中国、シンガポール、そして9月から日本でロールアウトが始まりました。
10月は韓国で展開されます。
この大きな取り組み、確実に成果がでるものと確信しています。
マネジメントとスポーツのアナロジー
リオオリンピックの余韻がまだ残っている今日この頃、
シンガポール(Joseph Schooling選手)が水泳で初の金メダルを
獲ったことは今でも強く印象に残っています。
さて、
シンガポールの日系企業の幹部からは、よくステレオタイプの意見が
聞こえてきます。
「ローカル社員は気が利かない、自分のスコープ内の仕事しかしない」など。
この議論は表面しか見ておらず、奥行きがありません。
僕はよく研修の中で、ビジネスとスポーツの類似性の中で、
マネジメントに必要なことを議論します。
そして教育的背景にも深い考察を入れます。
こんな質問をします。
「シンガポールがこれまでオリンピックでメダルを獲った競技は何だと思いますか?」
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・・・
・・・
・・・
答え: 卓球と重量挙げ
シンガポール人が得意な競技の特徴について下記の仮説を立てます。
①室内競技(not 屋外競技)
つまり、天候やグラウンドのコンディションなど、外的要因の変化には弱い。
②個人競技(not 団体競技)
教育がそもそも個人主義をベースに成り立っています。
そして、3番目は何でしょう。
③相手との間に境界線が引かれていること。
卓球やバドミントンが該当します。当然水泳もそうです。
仮に、室内競技で個人競技だったとしても、相手との接触がある競技は
苦手です。つまり格闘技などです。
そして、もう一つ言えば、
④数値目標が設定できること。
となります。
逆説的にこれらを総合すると、一番苦手なスポーツは
・・・
・・・
・・・
・・・
ラグビーと言えます。
一方で、日本人にとってはラグビーの昨年の活躍は記憶に新しいし、
ポピュラーなスポーツです。自分を犠牲にしてボールを生かすとか
“One for all, all for one”みたいな思想は、日本流ビジネスに
とてもフィットします。
しかしながら、この価値観があまり通用しない文化もあるのです。
異なる価値観の国でマネジメントを行う立場の人は
リーダーシップスタイルを柔軟に変えなければ High Performing Teamは
創れません。
ではどうすれば良いか。
上記4つの断面で考えてみると、少し解が見えてくるのではないでしょうか。